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2023年度 入学式 理事長あいさつ

2023年度 入学式 理事長あいさつ

 

入学式写真 理事長

 

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。

これまで皆さんを育て、応援してこられた、ご家族や関係者の皆様のお慶びもひとしおのことと存じます。謹んでお祝い申し上げます。

本学理事長の田中滋でございます。学長に続いて登壇する理事長とは、一体いかなる職務の人だろう、と思われた方もおられるかもしれません。

理事長とは、公立大学法人埼玉県立大学の運営を預かる責任者です。
その法人を代表して、新入生の皆さんの本学への入学を歓迎する祝辞をお伝えします。

大野 元裕 埼玉県知事におかれましては、感染症まん延後の社会と経済、何より県民生活の再出発のために、日々陣頭指揮を執っておられる、ご多忙の中をご臨席賜りまして、まことにありがとうございます。
また、和田 卓也 後援会長、藤川 剛 同窓会長にもご参加いただいたおかげで、県立大学の一体感を一層強めることができました。どうもありがとうございます。
中屋敷 県議会議長並びに福田 越谷市長からは、新入学生への温かい応援の御言葉を頂戴しております。
ご来場はかなわなかったものの、大変な状況にもかかわらずメッセージをお寄せいただき、深く御礼申し上げます。

今年3月に高等学校あるいは学部を卒業された方は、コロナ禍の下、3年間にわたり、学校における勉学や部活動などに大きな制限を伴う、不自由な学園生活をすごしてこられました。

ただし、かつてそうした不自由な期間を経験した生徒たちには、その後の学ぶ力が低かった人が多かったでしょうか? 一体感が弱い人が多かったでしょうか?
歴史を探るとそのような事実はなかったと分かります。

感染症に限ってみても、100年少し前のスペイン風邪大流行、明治時代に5回あったコレラ流行などの時期には、今回の新型コロナ感染症よりはるかに深刻な被害が報告されています。

そのような時期に直面しても、若者たちは、事態を乗り越え、学業・職業生活を進展させてきたのです。


人は、困難な、あるいは想定していなかった事態にあっても、考え、学び、友人や同僚、あるいは教員と信頼関係を築くことができます。

埼玉県立大学は、そうした意欲を持って入学された皆さんを全力で支援します。

ところで本学は、開学以来、わが国で最も早く、専門職連携実践(Inter-Professional Work)と、それを実現するための専門職連携教育(Inter-Professional Education)に取り組んできました。
複数の専門職が協働して行うグループワークを通じ、連携力を養う教育と実習に大いに期待してください。

もう一つは、地域包括ケアシステムと呼ばれる政策手法を誘導してきた実績に触れておきます。

地域包括ケアシステムとは、85歳以上人口が1,000万人を超える12年後に備え、人々の健康と暮らしを生活圏域において切れ目なく支えるために各地で構築されつつある仕組みを指します。
新入生の皆さんも、この仕組みを学んでいくはずです。

最後に本学の基本理念を取り上げます。理念は、陶冶、進取、創発という三つの言葉で表されます。いずれも、日ごろの生活では聞きなれない言葉だと思われるので、簡単に説明しておきます。

「陶冶」は、生まれついた性質や才能を鍛え、練り上げることを意味します。

大学卒業後、あるいは大学院終了後の働く場においては、様々な悩みや苦しみを持つ人に出会うことでしょう。

皆さんには、そうした人たちの悩みや苦しみを聞き、寄り添って支える力と心が求められます。
その際は、多様な価値観を受け入れられる包容力、温かく豊かな心、強い責任感が欠かせません。そのために自分の人格をみがくことが「陶冶」なのです。

「進取」は、従来の慣習にとらわれず、進んで新しい事柄に挑もうとする精神を表します。
社会は絶えず変化しており、学問も現場も日々進歩しています。

自ら積極的に学ぶ姿勢を持ち続ける意欲、と理解してください。

「創発」は、多様で優れた人材が集まる良い環境の下、さまざまな出会いを通じ、元の次元とは質的に異なる、高度なシステムが生ずる変化を意味しています。

教職員も学生も、個々に努力する姿勢を基礎としなければなりません。

ただし、それをベースとしつつも、新しい価値を創造すべく、仲間同士の努力の相互作用や融合が起きることを指しているのです。

本学は、これまでに約7,400名の学部卒業生・大学院修了生を世の中に送り出してきました。
その多くは、埼玉県内をはじめ、全国の保健、医療、福祉分野や、官庁あるいは企業などで活躍し、関係者の皆様から高い評価を得ています。
新入生の皆さんも、本学のメンバーとして、学修や研究、良き仲間づくりに励んでください。

先ほどと同じ言葉をもう一度述べます。皆さんが実り多く、かつ有意義な学生生活を送り、またそれぞれが描く夢を実現できるよう、教職員一同、全力で支援していきます。


皆さん、ご入学おめでとうございます。

 

2023年4月4日

 

公立大学法人埼玉県立大学 理事長
田中 滋