
新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
これまで皆さんを育て、応援してこられた、ご家族や関係者の皆様のお慶びもひとしおのことと存じます。謹んでお祝い申し上げます。
また本日は、大野元裕埼玉県知事をはじめ、白土幸仁埼玉県議会議長、岩中督埼玉県立病院機構理事長にお越しいただいております。
ご来賓の皆様には、お忙しい中をご臨席賜り、まことにありがとうございます。
本学理事長の田中滋でございます。
学長に続いて登壇する理事長とは、大学の中でどのような役割を担っているのだろう、と思われた方もおられるかもしれません。
理事長とは、公立大学法人の運営を預かる責任者であります。
その公立大学法人を代表して、新入生の皆さんの本学への入学を歓迎する祝辞をお伝えします。
まず本学の成り立ちを短く紹介します。「埼玉県は日本一のスピードで高齢化が進む」との予測が見えてきた1990年代、保健医療福祉分野における幅広い高度なサービスに対応できる質の高い人材の養成が、埼玉県にとっての急務となりました。
そのような社会的要望に応えるべく、本学は全国初の保健医療福祉学部を有する大学として、1999年に開学しました。この4月から27年目が始まりました。
埼玉県立大学は、開学当初から保健医療福祉の連携と統合の基盤を重視しています。
具体的には、本学は開学以来、わが国で最も早く、専門職連携実践(Inter-Professional Work:IPWと言います)と、それを実現するための専門職連携教育(Inter-Professional Education:IPEと言います)を進めてきました。
複数の専門職が協働して行うグループワークを通じ、連携力を養う教育と実習を大いに楽しみにして下さい。
2010年には公立大学法人となり、外部からの評価の機会を拡大するとともに、
機動的で柔軟な大学運営体制が図れるようになりました。
さらに、地域社会の期待に応えるべく、高度な専門職業人や研究者の養成のための大学院、あるいは研究開発センター、地域連携センター、専門職連携教育研修センターなどの各種センターも発展させてきました。
ここで、本学の基本理念である、陶冶、進取、創発について触れておきます。
「陶冶」は、生まれついた性質や才能を鍛えて練り上げるという意味です。
本学での学びを通して、あるいは教員や先輩の指導を契機として、自分自身が掲げる目標に向かって、人間性を育てていくのです。
「進取」は、従来の慣習にこだわらず、進んで新しい事柄に挑もうとする精神を表します。社会は常に変化しており、学問も同様に日々進歩しています。
自ら積極的に学ぶ姿勢を持ち続けてください。
「創発」は、個別の要素が多数集まる良い環境の下、質的に異なる高度なシステムが生ずる現象を意味しています。
教職員も学生も個々に努力する姿勢をベースとしつつも、それらの努力の相互作用や融合によって新しい価値を創造していく、生き生きとした大学であり続けるための理念です。
本学は、この基本理念の下、教育・研究・地域貢献の使命を果たしていくとともに、保健・医療・福祉の分野における日本一の大学を目指しています。
教職員全員がこの目標に向かって取り組んでいますが、皆さんも一緒に、この思いを共有して進んでいきましょう。
埼玉県立大学は、この理念の下、優れた研究を土台とする、専門職連携教育や地域包括ケアシステム構築支援などを通じ、保健医療福祉分野における日本一の大学を目指しています。
本学は、これまでに1万名を超える学部卒業生・大学院修了生を世の中に送り出してきました。
その多くは、埼玉県内を中心に、全国の保健、医療、福祉分野や、官公庁、NPO、企業などで活躍し、関係者の皆様から高い評価を得てきました。
新入生の皆さんも、本学のメンバーとして、学修や研究、さらに良き仲間づくりに励んでください。
結びにあたり、皆さんが実り多く、かつ有意義な学生生活を送り、またそれぞれが描く夢を実現できるよう、教職員一同、全力で支援していく決意をお伝えします。
皆さん、ご入学おめでとうございます。
2025年4月2日
公立大学法人埼玉県立大学 理事長
田中 滋