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学部卒業生・大学院修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 今日まで長きにわたって育て、支え、見守ってこられたご家族の皆様も、共にお慶びのことと存じます。 教職員一同の心からのお祝いの気持ちを代表してお伝えします。 今年度の卒業式も、参加者の安全確保、そして医療福祉現場に大学発の感染拡大を起こさせない社会的責任の観点から、この講堂内での参加は学生と教職員のみによる実施といたしました。何とぞご理解下さるよう、別室でご覧いただいている家族の方々にお願い申し上げます。 感染症対策、並びに感染症後の社会生活再開のため日々奮闘しておられる、大野 埼玉県知事、中屋敷 埼玉県議会議長、福田 越谷市長のお三方は、ご来場はかなわなかったものの、卒業生・修了生に対するとても温かい応援の言葉を贈って下さいました。ご多忙の中、ご丁寧に対応いただきましたことに、深く御礼申し上げます。 卒業・修了される皆さんは、実に3年を超えて登校に制限のかかる期間を過ごしてこられました。 残念であったことは言うまでもありませんが、むしろ苦しかった状況からも学びを見つけてこそ、優れた社会人としての道を切り開けると信じています。 人は、想定していなかった困難な事態に遭遇しても、考え、進化できます。何より、同じ苦しい時間をすごした同級生とは、卒業後も強い信頼関係で互いにつながり続けられることでしょう。 ところで、卒業・修了される皆さんの多くが働く、医療福祉分野の規模を考えたことがおありですか? またその費用をだれが負担しているか考えたことがおありですか? 2023年度のおおよその予測では、急増が見込まれている国防費が7兆円弱であるのに対し、医療費は50兆円近く、介護費用は14兆円、子供子育て10兆円などの額です。いかに大きいか分かるでしょう。 しかもこれらの費用のうち利用者家計の負担は15%以下にすぎず、残りは社会保険料と税金と国債収入なのです。何が言いたいか。 皆さんが働く分野は、社会の維持にとって不可欠であり、医療福祉等のサービスを使う使わないにかかわらず、社会全体で負担しているのです。 いかに期待が大きい分野であるか、いかに社会全体の多大な支援を受けている分野であるかを感じてください。そしてそこで働くことを誇りに思ってください。 埼玉県立大学の基本理念である「陶冶」、「進取」、「創発」を、これからの人生を考える上での鑑となる言葉として改めてかみしめましょう。 様々な人にそれぞれの価値観を尊重しながら寄り添えるよう、人格を陶冶し、進取の気象をもって新しい事柄に挑戦し、多様な連携を通じて新たな価値を創造する。 このような基本理念を持つ埼玉県立大学は、日本一と自負する多職種連携教育と合わせ、社会に大きな貢献を果たす人材を輩出してきました。 一般企業や自治体に務める方も含めて、新しい卒業生もそうした優れた仲間に加わり、すでに働いておられる方々はそのリーダーとなるのです。 卒業生・修了生の今後の発展と活躍を心より祈念しつつ、私のお祝いの言葉といたします。 ご卒業、誠におめでとうございます。 2022年3月15日
公立大学法人埼玉県立大学 理事長 田中 滋