式辞
新入生およびご家族の皆様、保健医療福祉学部および大学院研究科への入学を、埼玉県立大学の教職員と学生を代表して、心よりお祝い申し上げます。
また、ご多忙にもかかわらず、ご出席を賜りました埼玉県知事 大野 元裕 様、後援会会長 和田 卓也 様、同窓会会長 藤川 剛 様 に厚く御礼申し上げます。
この度の入学式は、3年に渡る新型コロナウイルス感染症がようやく収束の兆しを見せ、ウイズコロナの状況で感染予防対策を講じながらではありますが、このように、入学生が一堂に会して、ご家族の皆様にもご列席頂き開催することが出来ました。
入学式は、皆さんの人生の大切な節目であると同時に、ご家族、また大学にとっても重要な式典であります。
このように一堂に会し開催できること、感無量に思います。
新入生の皆さんは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと言う大変困難な事態にもかかわらず、目標を見失うことなく、難関を突破し今、ここに集っています。
皆さんの努力に敬意を表すると伴に、これから一緒に学び、未来を創造する仲間として活動できること大変嬉しく思います。
本学は1999年に設立され、2009年に大学院研究科修士課程を、2015年には博士課程を開設して、学部から大学院までの一連の高等教育課程が完成致しました。
開学以来、教育の基本方針として専門職連携教育を全国の大学に先駆けて取り入れ、2015年に基本理念「陶冶・進取・創発」を制定致しました。
連携教育と基本理念は、本学に集う教職員と学生の行動規範であり、「連携と統合」というSPU魂を培うものであると考えております。
「連携と統合」は、弱者や困っている人に手を差し伸べる、他者を慮る利他や寛容、そして目標に向かって作用し合う協働により成り立つ社会を形成する基盤となる価値観です。
皆さんには、本学で学び、SPU魂を培い世界を俯瞰できる人になって頂きたい。新型コロナウイルス感染症は、我々に大きな禍をもたらしましたが、ようやくポストコロナのフェーズに入ろうとしています。
このコロナは、社会の構造や人々の価値観に変化をもたらしました。
インターネット環境の急速な拡充に伴い、働き方や学び方、コミュニケーションの仕方に合理性や多様性を生み出しました。
一方で孤立や分断などと表される人と人の交流が阻害されました。
しかし、改めて対面の必要性や直接的なふれあいによる人と人の交わりの必要性が再認識されました。
さらに命の尊さや保健医療で働く専門職の偉大さに気づかされました。
私たち、保健医療福祉領域で働く者として、コロナ禍の経験は、改めて人間とは、人とは何かという人への理解を深める機会となったと思います。
ウイルス感染に対する身体反応を示す生物学視点から捉える生物としての人、不安や孤立感を感じる心理学の視点から捉える心としての人、更に仕事や学校で学ぶことの制限などの社会学的視点から捉える社会的役割としての人、これらは、人の研究における3つの視点とされ、生物心理社会モデル、バイオサイコソーシャルモデルと言います。
保健医療福祉の専門性の修得を目指し学部に入学された皆さんは、この人間、人の理解から学びが始まり、人との関わり、助けを求めている人との関わり、いわゆるヒューマンケアについて学びを深めて行きます。
また、大学院へ入学された皆さんは、人への理解をさらに深化させ、それぞれの専門領域においてヒューマンケアに寄与する研究へと学びを深めて頂きたいと思います。
この3年間、大学生活が制限されてきました。大学は講義を受けるだけのところではありません。
サークル活動やボランティア、アルバイトなど、大学生としての生活体験をとおして、学生であると同時に自律した社会人としての振る舞いを経験、学習する場でもあります。
私たちは、この経験、学習の場である大学を、学習コミュニティと言っています。この新型コロナ感染症のパンデミックは、この学習コミュニティを破壊しました。
新型コロナウイルスが感染症法上、5類移行するなど社会状況の変化が見えてきた今、私たちは、皆さんのためのSPU学習コミュニティを再建して行きます。
本学には、全国から学生や教職員が集まっています。教員の専門分野も多彩です。学内の教育設備は、埼玉県の支援により充実しております。
みなさんは、埼玉県立大学と教職員を十分に活用し、それぞれの志を全うしてください。本学教員職員は、皆さんを全力で支援致します。
本学に入学したことで、一つの目標が達成されたことになりますが、目標は、達成されると新たな目標ができます。目標はつきることはありません。
埼玉県立大学で学ぶことのプライドを持ち、志を全うすることを期待し、私の式辞と致します。
本日は、入学おめでとうございます。
2023年4月4日