式辞
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
そして、ご家族の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
また、ご多用にもかかわらず、ご列席を賜りました埼玉県知事 大野元裕様、埼玉県議会議長 白土幸仁様をはじめ、ご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。
入学された皆さんは、希望や期待、そして少しの不安もあることでしょう。
でも心配いりません。本学には、皆さんの学びを支え、一緒に成長していく仲間や教職員がいます。
そして、本学は、昨年4月に開学25周年を迎えましたが、前身である埼玉県立衛生短期大学を加えますと今年で50周年を迎える伝統ある大学です。
多くの先輩方が実習先でも活躍しております。どうぞ、安心してください。
さて、学部生の皆さん、皆さんが進まれる保健・医療・福祉の道は、人々の命と暮らしを支える、かけがえのない仕事です。
その役割を担うには、専門的な知識や技術だけでなく、温かな心や思いやりも必要です。
そして、疾病構造の変化や暮らしの中での支援は複雑化しています。
一人の専門職だけでは対応できません。
そのため、各学科がそれぞれ独自の専門性を追求する一方で、本学は開学以来、あらゆる人々と連携し実践活動ができる人材を育てたいという考えから、『連携と統合』を教育の柱とするとともに、全学を上げて専門職連携教育に取り組んでいます。
また、2015年に基本理念『陶冶・進取・創発』を制定致しました。
『連携と統合』およびこの基本理念は、本学に集う教職員と学生の行動規範といえます。先ほど皆さんと歌った大学歌はそれを象徴しています。
本学は、基本理念『陶冶・進取・創発』の精神のもと、人の思いに寄り添い、その人らしい生き方を支えるというヒューマンケアを大切にした教育と研究を推進しています。ぜひ、この『連携と統合』および基本理念を胸に刻んで、本学での学びを深めてください。
とりわけ、学部改革を行った健康情報学専攻にご入学した皆さんは、専攻の一期生となります。保健・医療・福祉領域でもDX化が急速に進んでいることからITの基礎を学ぶ情報系科目を新たに設置し、高度化・複雑化する保健・医療・福祉の理解とデータ分析力をより一層深められるようにいたしました。
健康情報学専攻はじめ、学部生皆さんの4年後の成長を期待しています。
また、大学院改革により、昨年より多い大学院生をお迎えしました。
同級生が多いことは、より一層、仲間と切磋琢磨し、研究を深めることができることと思います。教員や仲間と多くのディスカッションを通して、立派な論文を仕上げてください。
皆さんは、ときには、思い通りにいかないことや壁にぶつかることもあるでしょう。
でも、それもまた大切な経験です。
困難に直面したときこそ、しなやかに受け止め、柔軟に乗り越える力を身につけてください。
鈴木結生さんの『ゲーテはすべてを言った』が第172回芥川賞に選ばれたことで、ゲーテが話題になりました。
ゲーテは『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』の中で『有為な人間は全て相互に関係しあわなければならない』と言っています。
これは、他者との関わりの中で、自分自身を理解していくということだと思いました。
つまり、これから本学での学びは、仲間との対話の中で深まり、共に成長することで実を結ぶことになると思います。
友達をたくさん作り、意見を交わし、支え合ってください。
同じく、ゲーテの『格言と反省』からは、『いかにして人は自分自身を知ることができるか。観察によってではなく行為によってである』という言葉の通り、学んだことを行動に移すことが重要です。
これからの大学生活で、人とのつながりを大切にしながら、さまざまなことに挑戦してください。
皆さんの成長を心から祈念して、私の式辞といたします。
改めて、ご入学おめでとうございます。
2025年4月2日