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2022年度大学卒業式・大学院修了式 学長式辞

2022年度 卒業式 学長式辞

卒業式写真 学長


式辞

本日、学士の学位を取得された保健医療福祉学部418名、ならびに、修士および博士となられた大学院研究科29名の皆さん、本学の教職員と在学生を代表して、心からお祝いを申し上げます。

この卒業の日まで、皆さんの勉学を支え、励ましてこられたご家族やご支援を頂きました皆様もさぞやお喜びのことと思います。心から感謝とお祝いを申し上げます。

また、ご多忙にもかかわらず、ご祝辞をいただきました埼玉県知事 大野 元裕 様、埼玉県議会議長 中屋敷 慎一 様、越谷市長 福田 晃 様に厚く御礼申し上げます。

この度の卒業式は、3年に渡る新型コロナウイルス感染症がようやく収束の兆しを見せ、ウイズコロナの状況で感染予防対策を講じながらではありますが、このように、卒業生修了生が一堂に会して、開催することが出来ました。

本学が人々の健康と福祉に貢献する人材を育成することを使命の一つとしていることと、卒業生は4月から病院や施設で勤務することを鑑み、ご家族のご列席はご遠慮いただきました。何卒ご了承頂きたいと存じます。

卒業式は、卒業生、修了生にとって、人生の大切な節目であると同時に、ご家族、また大学にとっても重要な式典であります。
このような形で、卒業生、修了生が一堂に会して、卒業式、修了式が開催できたことは感無量の思いです。

本学は、1999年の開学以来24年目を迎え、卒業生、修了生は、皆さんを含め9,525名となりました。
本学の教育の基本方針である専門職連携教育と2015年に制定された基本理念「陶冶・進取・創発」を行動規範として、すでに国内外で活躍している先輩たちと共に、本学で培った連携と統合の価値観を胸に未来に向かって羽ばたいていただきたいと思います。

学部の課程を修了し、学士となったことは、皆さんに多様な未来を開きます。多くの方は専門職として、あるいは専門的知識を得て社会で活躍していくことでしょう。
さらに、世界中の大学院や高度専門職課程への進学の機会も開かれました。
修士あるいは博士号を取得された方は、高度実践者として臨床現場で、あるいは教育者・研究者として新たな学術分野で、存分に活躍されることを期待します。

皆さんは、2020年初めから今日まで、新型コロナウイルス感染症パンデミックという未曾有の厄災のなかで、厳しい制約を受けながらも、目標を見失うことなく、学位取得という、有終の美を飾ることが出来ました。皆さんの努力と賢明さにこころから敬意を表します。

遠隔中心の授業、限定された臨地実習、サークル活動や友達たちとの交流制限、実験研究の制約、アルバイトが出来ない、など、この厄災の中で、目標を達成できたという経験は、平時の大学の学びでは得ることが出来ない、大きな智力、困難の中でも生きぬく力を得られるものであったと思います。

智力、生きぬく力とは、単なる知識の多さや得た知識を振り蒔き、闇雲に行動することではありません。
課題解決、目標達成のために主体的に、自分自身を律し取り組み、多くの情報から適切な情報を抽出し、学び、それらを統合し、新しい解決策、戦略、戦術を創出する力であり、答えのない問題を解き、不確実性の社会を生きぬく力であると私は考えます。
それは、真に本学の基本理念に合致するものであります。

皆さんは、これからの人生の中でいろいろな壁にぶつかり、悩み、迷い、苦悩することがあるでしょう。
そのときは、是非、基本理念に立ち返り、星空を見上げてみてください。無数の可能性の中から自分自身の進む道を見いだすことが出来ると思います。

もう一つ、本学で学んだことにより得たものがあると思います。
私たちは、保健医療福祉の専門家として、弱者や困っている人へ手を差し伸べる利他の価値を学びました。
今、世界は分断され、一方の価値観で他方の価値観を排斥しようとし、自国の利益優先主義、利己主義が台頭していますが、一方で利他主義が叫ばれています。

ここで、私たちが学んできた利他について考えてみます。
利他的行為とは、「自己の損失を顧みず他者の利益を図るような行為」を言います。親による子どもの保護、子育てが代表例ですが、集団での協働作業において重要な行動です。
しかし、自分自身が他者のために良かれと思い行った行為は、自分自身の満足のための行為として、利他と相反する利己的行為になってしまう場合があります。
利他的行為は、相手から発せられる相互の関係の中にあって、自分中心からの発想ではないのです。
また、最終的に自分の利益享受のために相手に事前投資をするといった見返りを前提とした行為でもありません。
本学で学んだ連携、協働の基本となる価値観は、この利他にあることを忘れないでください。
社会は、連携と協働により造られ発展してゆきます。
皆さんが社会に貢献すると共に人生を謳歌することを願っています。

最後になりますが、一つお願いがあります。皆さんのこれからの活躍は、本学での学修の成果であります。そして本学の宝でもあります。
これからも本学との絆をしっかりと結び、引き続き本学の発展のためにご支援をお願い致します。
そして、将来の埼玉県立大学を一緒に作りあげていただきたい。

私たち教職員や先輩、皆さんの後に続く後輩と共に、保健医療福祉をはじめとする社会の様々な分野で、皆さんが力強く歩んでいくことを祈念して、私の式辞といたします。

本日は、誠におめでとうございます。

2023年3月15日



公立大学法人埼玉県立大学
学長 星 文彦