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2020年度大学卒業式・大学院修了式 学長式辞

2020年度 卒業式 学長式辞

2020年度の大学卒業式・大学院修了式における学長式辞です。




本日、学士の学位を取得した保健医療福祉学部424名、及び、修士あるいは博士となられた大学院研究科17名の皆さん、本学の学生と教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。
この日にいたる長い年月、皆さんの勉学を支えてこられた御家族や支援者の皆様の御労苦にたいし、深く感謝の意を表します。
また、御多忙にもかかわらず、御祝辞をいただきました埼玉県知事 大野 元裕様、埼玉県議会議長 田村 琢実様、越谷市長 高橋 努様に厚く御礼申し上げます。

卒業生、修了生の皆さんは、それぞれの学位記を手にし、陶冶、進取、創発の基本理念のもとでのこれまでの学びを振り返り、希望を胸に、未来へ思いをはせていることと思います。
学部の課程を修了し、学士となったことは、皆さんに多様な未来を開きます。多くの方は専門資格も得て社会で活躍していくことでしょう。さらに世界中の大学院や高度専門職課程への進学の機会が開かれました。
修士あるいは博士号を得られた方は、高度実践者として臨床現場で、あるいは教育者・研究者として新たな学術分野で、存分の活躍をされることを期待します。

この1年、本学の教育は、新型コロナウイルス感染症パンデミックに翻弄されました。本学は、昨年2月に、大学内での学生、教職員の感染防止に加え、利用者の多くが新型コロナウイルス感染症の高リスク者である実習施設への本学経由の感染を何としてでも食い止める決意を固め、様々な対策を開始しました。
その結果、皆さんの学修は大きな影響を受け、特に、国際交流、インターンシップや学内外での対人実習は大きく制限されました。従来ならば、初対面の患者さんや利用者さん、施設職員の皆様との交流の中で、相手の目を見つめ、声を聴き、体の動きの意味を読み取りながら、多くの情報を収集し、事前に学んだ知識や技術と融合させる複雑な作業を行いながら、学士として、専門職としての知識、技術、態度を学修しました。そのような機会を制限したこと、及び、ちょうど10年前の大震災の年と同様に、この重要な式典を変則的に開催したことは、学長として痛恨の極みです。

一方、この1年で、ICTを使用した教育に、大きな可能性や有用性も見出しました。本学は、このコロナ禍以前から、国内遠隔地及び海外在住の非常勤講師による遠隔授業を試験的に開始していました。沖縄などの他県から、あるいは中米やオーストラリアからの本学卒業生の講義や、中国の大学生や留学経験者とのネットでの交流もありました。
皆さんは、感染症パンデミックに直面し、困難を感じながらも、これまで学んだ蓄積をもとに状況を理解し、乗り越えながら今日を迎えたことと思います。その際に、皆さん一人一人は、自らの意思で、他の何人とも異なる学びをしました。自分の独自の学びを誇りに思い、大事にしていただきたい。図らずも遭遇した、先輩とは大きく異なる学修経験を、これからの人生でも生かしていただきたい。

一方、皆さんが、これから活動する様々な分野では、最新の知識も数年で過去のものとなり、新たな知見や技術、価値観が次々と登場します。また、この1年の社会の変化をだれが予想できたでしょうか。明日は、未来は、過去の繰り返しではないようです。皆さんは様々な変化や困難に直面し、それらを乗り越えなければなりません。
そのためには大学で獲得した知識や技能を拡張し、発展させ、先達の背中を乗り越え、自身の能力の向上をはかるとともに、社会の発展に寄与し、それぞれの分野で独創的な未来を築いていただきたい。

最後になりますが、一つお願いがあります。皆さんには、今後は様々な面で本学を支援していただきたい。皆さんが、これから社会で獲得する経験や知見は本学をより良くするために大変貴重なものです。それをもとに、将来の埼玉県立大学を一緒に作りあげていただきたい。そのためにも本学は、皆さんが必要なときにはいつでも、戻ってこられる場となるように努力します。

皆さん、本日は卒業・修了のみならず、皆さんの新しい人生への門出を祝う日です。朝ご飯をきちんと食べ、健康に留意し、日々の仕事や学修に備えてください。また、私たち教職員や先輩、皆さんの後に続く後輩と共に、保健医療福祉をはじめとする社会の様々な分野で、皆さんが力強く歩んでいくことを祈念して、私の式辞といたします。

2021年3月15日

公立大学法人埼玉県立大学
学長 萱場 一則