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2020年度大学卒業式・大学院修了式における田中理事長のあいさつです。
卒業生・修了生の皆さん、御卒業おめでとうございます。 今日まで、長きに亘って支えてこられた御家族の皆様も、ひとしお、お慶びのことと存じます。心からお祝い申し上げます。 今年度の卒業式・修了式は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、参加者の安全確保と、感染拡大を防ぐ社会的責任の観点から、学生と教職員のみによる実施といたしました。 学生生活の大きな節目である、卒業式・修了式に立ち会いたかったであろう御家族の皆様にとっては、とても残念な決定をせざるをえませんでした。何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げます。 また、同じく新型コロナウイルス感染症対策のため御来場は適いませんでしたが、大野埼玉県知事、田村埼玉県議会議長、高橋越谷市長からは、学生の皆様への温かい応援の御言葉を頂戴しております。お忙しい中、誠にありがとうございました。 ところで、10年前の今頃は東日本大震災の直後でした。また、本学開学以前の1968年頃には、学園紛争のために卒業式が行えなかった大学も発生しました。では、そうした際に大学を卒業・修了した学生たちは、学びの成果が低かったでしょうか。一体感が弱かったでしょうか。私が見聞きしたり、文章を読んだりした限り、そのようなことはありません。 人は、困難な、あるいは想定していなかった事態にあっても、考え、学び、同級生と信頼関係を築くことができます。卒業後も、母校を訪れ、教員と新たな研究に取り組んだり、人生の相談をしたりできます。むしろ、困難な時期を共に過ごしたからこそ、一体感が強まると信じます。 卒業・修了される皆さん、本日は別れの日ではなく、皆さんがこれから新しい世界に羽ばたく門出の日です。「新しい世界」に羽ばたくとは、皆さんの多くが初めて社会に出るから「新しい世界」に入ることだけを意味しているのではありません。 わが国は、新興感染症蔓延のみならず、85歳以上の超高齢者が史上空前の数となる時期を迎えようとしています。ゆえに「新しい世界」なのです。そこでは、保健・医療・福祉分野の人材に対する世の中の期待は、間違いなく一層高まっていくでしょう。さらに、本学の強みである多職種連携教育を活かし、広く他分野の専門職とも力を合わせていく柔軟性が生かせるはずです。 埼玉県立大学の基本理念である「陶冶」、「進取」、「創発」は、皆さんが自分の人生を考える上での鑑となる言葉です。 様々な人に、それぞれの価値観を尊重しながら寄り添えるよう、人格を陶冶し、進取の気象をもって新しい事柄に挑戦し、多様な連携を通じて新たな価値を創造する。このような基本理念を持つ埼玉県立大学で学んだ事柄を心に刻み、プライドを持って自分の人生を切り開いていってください。皆さんは、悩み、考え、工夫しながら変革を図る力を間違いなく身につけています。 皆さんの今後の御発展御活躍を心から祈念して、私のお祝いの言葉といたします。 御卒業、誠におめでとうございます。
2021年3月15日
公立大学法人埼玉県立大学 理事長 田中 滋