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2022年度 入学式 理事長あいさつ

2022年度 入学式 理事長あいさつ

 

 理事長あいさつ

 

新入生の皆さん、御入学おめでとうございます。
これまで皆さんを育て、温かく見守ってこられた、御家族や関係者の皆様のお慶びもひとしおのことと存じます。謹んでお祝い申し上げます。

私は本学理事長の田中滋と言います。
理事長とは埼玉県立大学の運営を担う公立大学法人の経営責任者です。法人を代表して、皆さんの本学への入学を心から歓迎します。

今年度の入学式も、参加者の安全確保、および大学発の感染拡大を防ぐ社会的責任の観点から、去年と同様、学生と教職員のみでの実施としました。御家族や関係者の皆様には、何とぞご理解を賜りますようお願いいたします。

また、感染症対策のため日々奮闘しておられる、大野埼玉県知事、中屋敷埼玉県議会議長、福田越谷市長からは、新入学生への温かい応援の御言葉を頂戴しております。
ご来場はかなわなかったものの、大変な状況にもかかわらずご丁寧に対応いただき、深く御礼申し上げます。

4月からの教育活動については、遠隔授業を効果的に利用しながらも、基本的には通常の授業形態、すなわち対面授業へと移行していくことになりました。もちろん、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための感染症対策と、リスク管理を前提としながらの運営となります。
対面であれ、遠隔であれ、新入生の皆さんの積極的な授業参加を期待します。

ところで本学は、主に保健・医療・福祉分野にかかわる教育・研究を担ってきました。
そこで、皆さんが卒業後・修了後に直面する日本社会の将来を考えてみましょう。

「団塊の世代」という言葉をご存知ですか。
1945年の第二次世界大戦終了直後、1947,48,49年に合計690万人も生まれた世代を指します。昨年の出生数は84万人だったので、年あたりで見ると3倍近い人口になります。
ところで1947に75を足すと2022ですね。
つまり今年の1月から、この大きな数の団塊世代が75歳を超え始めました。

そして今から13年後の2035年のわが国は、85歳以上人口が1,000万人を超える、超高齢社会に突入します。
入院患者の高齢者比率増大はもとより、外来医療に通えない人が増え、在宅医療ニーズが大幅に増えていくでしょう。
一方、少子化対応の各種政策対応も不可欠です。加えて、人々の経済格差の拡大も懸念されており、社会福祉専門職のみならず、福祉の意味を理解する保健医療専門職に対する役割が一層大きくなります。

このように、保健医療福祉分野にとっての課題が多様化・複雑化していきます。こうした課題に立ち向かい、未来を切り開き、社会に貢献できる人材となるよう、本学では皆さんの力を磨く教育が提供されます。

最後に本学の基本理念を取り上げます。理念は三つの言葉で表されます。
いずれも日ごろの生活では聞きなれない言葉でしょうが、陶冶、進取、創発の3つです。

「陶冶」は、生まれついた性質や才能を鍛え、練り上げることを意味します。
本学の卒業生の多くは、保健・医療・福祉の分野に従事します。あるいはそれ以外の分野であっても、働く場では、様々な悩みや苦しみを持つ人に出会うかもしれません。
皆さんはそうした人たちの悩みや苦しみを聞き、寄り添って支える力と心が求められます。
その際は、多様な価値観を受け入れられる包容力、温かく豊かな心、強い責任感が欠かせません。そのための人格の「陶冶」なのです。

「進取」は、従来の慣習にとらわれず、進んで新しい事柄に挑もうとする精神を表します。
社会は絶えず変化しており、学問も現場も日々進歩しています。自ら積極的に学ぶ姿勢を持ち続けましょう。

「創発」は、いろいろな人や組織などが多数集まる良い環境の下、さまざまな出会いを通じ、質的に異なる高度なシステムが生ずる現象を意味しています。
教職員も学生も、個々に努力する姿勢を基礎としなければなりません。ただし、それをベースとしつつも、仲間同士の努力の相互作用や融合によって、新しい価値を創造していく、生き生きとした大学であり続けるための理念です。
本学は、これまでに約7,000名の卒業生・修了生を世の中に送り出してきました。その多くは、埼玉県内をはじめ、全国の様々な保健、医療、福祉分野や、官庁あるいは企業などで活躍し、関係者の皆様から高い評価を得ています。
新入生の皆さんも、本学のメンバーとして、学修や研究、良き仲間づくりに励んでください。

皆さんが実り多く、かつ楽しい学生生活を送り、またそれぞれが描く夢を実現できるよう祈念します。
皆さん、ご入学おめでとうございます。

2022年4月5日

公立大学法人埼玉県立大学 理事長
田中 滋