本文へスキップします。

【参】メインイメージ(理事長、学長メッセージ)
メインイメージ
H1

平成30年度 卒業式 理事長あいさつ

平成30年度 卒業式 理事長あいさつ

平成30年度の大学卒業式・大学院修了式における田中理事長のあいさつです。

 

卒業生・修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

今日まで、長きに亘って支えてこられましたご家族の皆様、お慶びもひとしおのことと存じます。心からお祝い申し上げます。
また、埼玉県知事 上田 清司 様、越谷市長 高橋 努 様はじめ、ご来賓の皆様、ご支援いただいております関係諸団体の皆様、お忙しいところご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。

卒業・修了される皆さん、本日は別れの日というより、皆さんがこれから新しい世界に羽ばたく門出の日と捉えてください。
埼玉県立大学で身につけた考える力、思いやる心を活用し、これからも自分を磨き、成長を続け、職場や地域を支える有為な人材として大いに力を発揮していただきたい、と心から願っています。

さて、今、「新しい世界」に皆さんが羽ばたく、と言いましたが、これは、皆さん方の多くが、初めて社会人になるとの意味で「新しい」だけではありません。
現在、日本に住む人は大変に長生きになりました。栄養水準が上がったり、衛生状態がよくなったり、医学が進歩して治せる病気が増えたり、要介護になっても進んだケアを受けられたりなど、様々な背景がありますが、死亡率が下がった結果、75歳以上人口は、1950年に比べ、2019年には、ほぼ18倍に増加しました。高齢者の総数が増えると、元気な高齢者も増えますが、虚弱になる高齢者も増えます。
健康寿命後の長生きとは、慢性疾患を抱え、ADLやIADLに問題があり、肺炎や骨折、また認知症のリスクを持った状態での生活でもあります。皆さんには、人類がつい最近まで経験したことがなかった、新しい社会での仕事や研究で貢献する姿が求められています。

こうした時代背景の下、人々の生活にとって、さらに地域社会の維持にとって、役に立つ仕組みとして、各地で地域包括ケアシステムの構築が進められています。
そのためには、医療と介護の連携はもちろん、保健・福祉・建築などとの連携も欠かせません。住民を主体としつつ、多彩なプロフェッショナルが協働し、それを自治体が支えていく地域包括ケアシステムの実現に本学は様々な形で参画しています。

皆さんの多くは、まさにこのような時代に、専門職連携を担う人材として、羽ばたこうとしているのです。
本学の教育目標の一つに「高い専門性と連携力」があります。
本学で学んだ卒業生、修了生は、人類史上初めての事態の中でも、これまでの学びから得た能力を活かして、果敢に挑戦してくれると信じています。

皆さんを取り巻く環境、ニーズ、知識は、絶えず、ますます速く変化していきます。
それに対応していくためには、常に学び続ける不断の努力が必要です。時には、挫けてしまいそうになるかもしれません。
しかし、自分自身で考え、困難を乗り越えた先には、大きな達成感と成長が待っています。

埼玉県立大学の基本理念である「陶冶」、「進取」、「創発」は、これからの人生を考えるうえでの鑑となる言葉です。
様々な人にそれぞれの価値観を尊重しながら寄り添えるよう、人格を陶冶し、進取の気象をもって新しい事柄に挑戦し、多様な連携を通じて新たな価値を創造する。
このような基本理念を持つ埼玉県立大学で学んだ数年間を心に刻み、プライドを持って自分の人生を切り開いていってください。

皆さんの今後のご発展ご活躍を心から祈念して、お祝いの言葉といたします。
ご卒業、誠におめでとうございます。

平成31年3月15日

公立大学法人埼玉県立大学
理事長 田中 滋