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平成29年度入学式理事長あいさつ

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2017/04/04

平成29年度の大学・大学院入学式における江利川理事長のあいさつです。


江利川理事長写真

   皆さん、ご入学おめでとうございます。
ご家族の皆様のお喜びも一入のことと思います。心からお祝い申し上げます。
また、本日は大変お忙しい中を、埼玉県知事上田清司様はじめ、ご支援をいただいている関係の皆さまに、ご来賓としてご臨席いただいております。厚く御礼申し上げます。

   本学は、平成11年4月に開学し、卒業生は6,800名にのぼります。その多くは県内外の医療・福祉関連施設で活躍しており、関係者から非常に高い評価を得ています。本日入学された皆さんも、本学でしっかり学び、成長して、先輩たちが築き上げた評価や伝統をさらに高めるよう、努力してください。高い評価や良い伝統をさらに高めることは大変なことですが、皆さんの努力に期待しています。
大学は、学びの場です。長い人生の中で、学びの時間をこれだけ十分に持てて、かつ、若く柔軟な頭脳と心で学びに取り組めるのは、この大学の4年間ぐらいしかありません。人生の宝というべきこの期間を、自分の成長のために、全力を傾けて努力してください。
人生を精一杯生きていくために大事なことは、高い志を持つことです。学ぶ上でも、高い志を持つことが大事です。幕末の松下村塾で有名な吉田松陰先生は、「志を立てて以って万事の源となす」と言っています。志を原点にして、自分を奮い立たせ、前に向かって進んでいくのです。ですから、志は高ければ高いほどいいのです。皆さんは、自分の希望や目的を実現するために、この大学に入学しました。その希望や目的が「志」です。その志をノートにしっかり書きとめてください。
大学生活の中で、様々な困難にぶつかったり、自分の力の限界を感じたりすることもあるでしょう。そんな時、ノートに書いた志を読み返し、自分を奮い立たせて、希望や目的に邁進してください。諦めたら終わりです。努力を続ければ、必ず道は開けます。道が開けるまで、努力し続けてください。
 
   本学で、皆さんは保健医療福祉について学ぶことになります。この学びには、専門分野の知識や技術を身につけるだけでなく、人間性を磨き高める、温かな心を持って広く深く考えて行動する、そのような人間力を身につけることも求められています。
本学は、一昨年9月に「基本理念」を定めました。さらに昨年は、基本理念を踏まえて大学歌を作りました。入学式の冒頭で、みんなで斉唱しました。作詞者は、この3月に卒業した、本学の学生です。入学に当たり、皆さんに埼玉県立大学の学生としての自覚を持っていただく、そういう思いを込めて、この基本理念と大学歌について話します。

   ピンク色の式次第を開いてください。基本理念と大学歌が印刷してあります。基本理念として、三つの言葉が書いてあります。陶冶(とうや)、進取(しんしゅ)、創発(そうはつ)と読みます。基本理念を、一緒に、声を出して、読んでいきましょう。
基本理念
本学は、陶冶、進取、創発を基本理念として、保健医療福祉に関する教育・研究の中核となって地域社会に貢献します。
 
陶冶:誠実で温かい心と主体性を持ち、多様な価値観を尊重する人間性を磨き高める
進取:広く先達に学びつつ、未来を志向する教育・研究に取り組む
創発:多様な連携を通じて、予測を遥かに超える新たな価値を創造する
 
少し難しい言葉ですが、大学生だからこそ、この難しい言葉の意味をしっかりと考え、心で受け止めてもらいたいのです。
前文で、「陶冶」、「進取」、「創発」を基本理念として、「保健医療福祉に関する教育・研究の中核となって地域社会に貢献します」と、本学のミッション・使命を謳っています。その後に、陶冶、進取、創発の意味するところが書かれています。それぞれについて少し丁寧に説明します。

   「陶冶」は、人格の陶冶などと使われますが、生まれついた性質や才能を鍛えて練り上げることです。努力して、自分のよい点を伸ばしていく、自分自身を磨き高めていく、それが陶冶の意味です。本学での、授業を通じ、様々な学内・学外活動を通じ、先生との触れ合いの中で、あるいは自分の努力によって、自分自身を陶冶する、磨き高めてください。
4年後に本学を卒業すると、皆さんの多くは、保健医療福祉の分野で働くことになります。そして、様々な人に接し、その人たちの悩みや苦しみを聞いて、寄り添って支えることが求められます。それができるようになるためには、多様な価値観を受け入れられる包容力、温かく豊かな心、強い責任感が求められます。そのような人になるよう努力してもらいたいのです。
大学歌一番では、「人格の陶冶、薫る学び舎。人に寄り添い、博く愛す」と謳われています。

   「進取」は、進取の気象などと使われますが、従来の慣習にこだわらず、進んで新しいことをしようとすることです。特に研究には、そのような積極的な姿勢が必要ですし、また、学ぶ姿勢にもそのような積極性が必要です。保健医療福祉の学問は、常に日進月歩です。その進歩を、授業の中で、あるいは社会に出ても、積極的に学んでいかなければいけません。そのためには、基礎がしっかりしている必要があります。まず、先人の蓄積を十分学び、吸収することから始めることになります。
大学歌二番では、「進取の気象、充つる学び舎」、そして「志高く、叡智究む」と続きます。志は、最初に申し上げたように、皆さんの目標です。高い目標を立てて、努力して、叡智、即ち自分自身の能力を、高めていってください。

   「創発」は、個別要素が多数集まることによって、単純に足し算した結果とは質的に異なる、高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象のことを言います。「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがありますが、個々人の異なる力を合わせて、質的により高いレベルの価値を創り出していくことです。
本学では、専門職連携教育や専門職連携実習を通じて、異なる学科の学生が力を合わせて課題に対応するという教育を行っています。そのように、皆が力を合わせて、その相互作用や融合によって、新しい価値を創り出していく。そういう生き生きとした大学にすることを目指しています。
大学歌三番では、「創発の気概、漲る学び舎。心一つに、切磋琢磨す」となっています。切磋琢磨とは、志を同じくする仲間同士が互いに励まし合って、学問や仕事に励むことです。さらには人徳をいっそう磨き上げることです。

   陶冶、進取、創発。読み方や意味が分からなかった人もたくさんいるのではないかと思います。私の今日の挨拶は、大学のホームページから読めるようにしますので、それを読んで、意味をしっかりと理解してください。この基本理念の意味は深く、普遍性を持っています。私は、この基本理念の下、本学を保健医療福祉分野の大学の中で日本一と言われる大学にしたいと思っています。教職員挙げてその目標に向かって取り組んでいきますし、学生の皆さんもそのつもりで努力をしていただきたい。また、この基本理念は、大学生活においても、大学を卒業して社会人になっても、成長に応じて、自分の足元を照らし、自分の行き先を照らしてくれるものです。この基本理念をしっかりと自分のものにしてください。

   皆さんには、ご両親はじめ多くの方々から大きな期待が寄せられています。その期待に応えて、皆さん自身の夢を実現できるよう、頑張っていただきたいと思います。本学での皆さんの学生生活が充実した実り多きものとなることを祈念して、私のお祝いの言葉といたします。
   皆さん、ご入学おめでとうございます。
 

平成29年4月4日
公立大学法人埼玉県立大学
理事長   江利川   毅