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平成28年度卒業式・修了式式辞

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2017/03/15

平成28年度の大学卒業式・大学院修了式における学長式辞です。


三浦学長

   皆さん、ご卒業・ご修了おめでとうございます。
また、これまで卒業生・修了生を支えてこられたご家族の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。
本日、皆さんの門出を祝うために、来賓として上田埼玉県知事代理の知事室長吉浦伸和様、埼玉県議会副議長石井平夫様、地元越谷市長高橋努様をはじめ、日頃より本学にお力添えを賜っております関係機関や団体の多くの皆様がご臨席下さいました。さらに、初代学長の北川定謙先生、第二代学長の柳川洋先生をはじめとする名誉教授の先生方にもお越しいただきました。このように盛大に埼玉県立大学卒業式並びに大学院修了式を迎えることができました喜びを、皆様とともに分かち合いたいと存じます。この歓喜にあふれた開式にあたり、本学教職員を代表して巣立ちゆく皆さんに、心からの激励をこめて式辞を申し上げます。
只今、学部生414名が卒業証書および学位記を、大学院生19名が修了証書および学位記を手にされました。授与された学位は、学部生の皆さんそれぞれが、日々、勉学をはじめさまざまなことに挑戦するなかで、知的にも精神的にも大きく成長した証であり、大学院生の皆さんが切磋琢磨し、研究成果を上げられた証であります。大いに誇っていただきたい。

   さて、私はみなさんが本学に入学した折にも、学長として式辞を述べました。本日はその際にお話した本学の教育理念である「連携と統合」について、いくつかのキーワードを挙げて振り返ってみようと思います
一つ目は、他者への「敬意」です。現代社会は、思考、主義等の異なる多様な人々で構成され、そのかかわりで成り立っています。考えが異なれば意見の対立を生むこともあります。しかし他者に対して常に敬意を払う態度があれば、その意見に耳を傾けることができ、そこに対話が生まれます。
二つ目は、この対話を促進する「コミュニケーション能力」です。コミュニケーションは個人が社会で生きていく上で必要不可欠ですが、皆さんは本学での学修を通して、保健医療福祉におけるその必要性を実感されたことでしょう。利用者の方々や、さまざまな専門職間をつなぐ、基礎的なコミュニケーション能力を身に付けていただけたと思います。
三つ目は「思いやり」です。保健医療福祉に携わる職業ではこの心なくして支援はあり得ません。形式的な対応では利用者の方に真に届く支援はできません。
本学の「連携と統合」の理念にもとづく専門職連携教育(IPE)では、さまざまな価値観をもつ者が一堂に会し、他者への思いやりを根底に、個人や地域の課題を探索し、その解決方法を模索して、創造的な協働作業を行うことができる人材の育成をめざしています。このように、皆さんが在学中に学んだ「連携と統合」の考え方は、これからの共生社会を支える基盤となると私は確信しています。自信をもって社会の荒海に乗り出していただきたい。とは申せ、皆さんが本学で学んだことはそれぞれの専門性の基本を学んだに過ぎません。保健医療福祉の分野は日進月歩の世界です。これまでに得た知識、技術のみで対応できるものではありません。卒業は終わりではなく、新たな始まりであります。これからも生涯学びが続くことを肝に銘じ、さらなる研鑚によって多くの知識、技術を習得し、皆さんの支援を待つ人々のために、多くの人々と手を携え、さらに成長してください。これからが実践の学びであります。

   本学では、昨年度、大学の基本理念を制定しました。「陶冶」、「進取」、「創発」です。これはこれまでの教育理念および教育目標を踏まえて、埼玉県立大学に所属するすべての人々の理念として再構成したものです。「連携と統合」の考え方は基本理念に包含されていますので、今後も脈々と続いていくことでしょう。埼玉県立大学はこの基本理念のもと今後も更なる発展を目指してまいります。

ところで、私は平成23年4月に学長に就任し、2期6年の任期満了により、皆さんと同じく本年度で卒業ということになります。学長に就任して最初の決断は、3月11日の東日本大震災によって入学式を4月25日に延期し、ご家族の方やご来賓の参列もご遠慮願い、簡素化したことでありました。以来6年を経た現在でも被災地は復興途上であり、福島第一原発の廃炉には30年から40年が見込まれています。当時の文明社会の危うさを振り返り、人々のつながりがいかに大切であるかを噛みしめていただきたい。そして、我々一人ひとりの復興への貢献をあらためて考えて参りましょう。
 
   皆さんは、卒業・修了された後も、本学の卒業生・修了生として、永遠に本学の貴重な人材であります。我々は共に保健医療福祉分野の発展の一翼を担い、地域社会に貢献する同志でもあります。また、良き日ばかりではなく、皆さんが悩み、行き詰った時にも、再び前進の足掛かりをつかむために、本学を利用してくだされば幸いです。
本学では、同窓会活動の活性化を進めています。キャリアアップの継続的な支援を目的とした保健医療福祉科学学会や、地域社会に開かれた大学をめざす地域産学連携センターがあります。保健・医療・福祉に関する基礎的研究とともに、地域や時代の要請に応える先駆的、実践的な研究を推進するための研究開発センターも昨年4月に新たに設置いたしました。卒業・修了後も、皆さんの活動の場を多数用意しておりますので、ぜひご活用ください。
そして、将来皆さんが社会で活躍され学んだ成果をぜひ本学に還元し、後輩の教育・指導にも力を貸していただくようお願いいたします。また、引き続き博士後期課程に進学される方は、これまで以上に研究に邁進していただきたい。
これからの皆さんの長い人生の幸を願って、最後にもう一度心からお祝いを申し上げます。
   本日は、洵におめでとうございます。
 平成28年度卒業式
平成29年3月15日
埼玉県立大学長
三浦宜彦