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2017/03/15
卒業生・修了生の皆さん、ご卒業、おめでとうございます。 今日まで、長きに亘り支えてこられましたご家族の皆様、お慶びも一入のことと思います。心からお祝い申し上げます。 また、埼玉県知事はじめご来賓の皆様、ご支援いただいております関係の皆さま、お忙しいところご臨席賜りまして、誠にありがとうございます。 卒業・修了される皆さん、本学を卒業し、社会人として巣立っていくことは、人生の大きな節目であります。この大学で学んだことを糧として、卒業を機にさらに心を引き締めて、社会に出ても自分を磨き、成長を続け、大いに活躍していただきたいと思っています。 本学は、保健医療福祉の分野を学ぶ大学です。ここで学んで卒業する皆さんの多くは、社会に出て就職すると、様々な支援を必要とする人たちと向き合うことになります。その時に、専門的な知識や技術があれば適切に対応できるかと言えば、私はそうは思いません。知識や技術も必要ですが、それに加えて「こころ」、温かで豊かな人間性、それが極めて大事であります。そのような人間性を身につけていないと、真に必要とされる専門職にはなれません。このことを、まず、しっかりと心に刻んでいただきたいと思います。 豊かな人間性を涵養する、そういう気風が本学の中に満ちている、そのような大学であり続けたいという思いの下に、昨年度、本学の基本理念を定めました。皆さん、基本理念を覚えてくれましたか。覚えていない人は、今からでもしっかり覚えてください。 そして今年度は、その基本理念を織り込んで、本学の校歌、大学歌を作りました。歌詞は、学生、卒業生、教職員から公募しました。応募作品は23、私はそれを読んで、どれも素晴らしいと思いました。応募していただいた皆さんに、心の底から感謝しています。大学歌企画委員会を設置して、川畑副学長に委員長になっていただいて、厳正に審査していただきました。その結果、社会福祉学科4年生の丸山暁さんの作詞が選ばれました。丸山さん、素晴らしい作詞をありがとうございました。 皆さん、お手許の次第を開いて、大学歌と基本理念を見てください。 澄み渡る大空、連携の丘 晴れた日に、連携と統合の丘の芝生に座って友達同士で語り合ったり、連携と統合の丘を歩いて教室に向かったり、そのような経験を、皆さんはきっと、持っているのではないでしょうか。 人格の陶冶、薫る学び舎 人格の陶冶、これは基本理念の三つの言葉の一つで、生まれついた性質や才能を鍛えて練り上げることです。誠実で温かい心と主体性を持って、多様な価値観を尊重する人間性、そういう懐の深い人間性を磨き高める、ということです。この人間性を高める努力は、社会人になっても、一生涯ずうっと続けてください。 人に寄り添い、博く愛す 保健医療福祉学科での学びは、支援を必要とする人たちに優しく寄り添い、その人が抱えている困難を一緒に受け止めていく、そういう心の姿勢、博愛精神を学ぶことでもあります。そしてそれを実践していく。 さあ埼玉県立大学の友よ 共に磨かん、清廉の心 清廉とは、心が清らかで私欲のないことです。そのような心を持てるよう、埼玉県立大学の友は、みんな一緒になって、自分の心を磨いていこうということです。 二番です。 吹き抜ける風、そよぐ木々の葉 大学にはたくさんの木があります。特に桂の木が多いのですが、皆さんはどの木を思い浮かべるでしょうか。 進取の気象、充つる学び舎 進取の気象も、本学の基本理念の三つの言葉の一つです。 進取とは、従来の習わしにとらわれることなく、積極的に新しい物事に取り組んで行こうとすることです。でも、新しければ何でもよいということではありません。基本理念の説明では、広く先達に学びつつ、つまり、先人の努力を継承しつつ、未来を志向する教育・研究に取り組む、とされています。 志高く、叡智究む 志は極めて大事なものです。吉田松陰は「志を立てて以って万事の源となす」、つまり、何をするに当たっても志が原点であると言っています。中国の孟子は「志は気の帥なり」、つまり、気力、やる気を鼓舞する、引っ張っていくのが志だと、言っています。しっかりした志を立てることによって、自分自身をしっかりした人間に導いていくことができます。ですから、志は高ければ高いほどよいのです。 叡智とは、物事を将来まで見通す力、それと世の中に役立つ様々な技術・知恵、この二つを兼ね備えた能力を意味します。叡智を究めるとは、その叡智をどこまでも追及して身につけていくことです。 さあ埼玉県立大学の友よ 共に築かん、未来の礎 三番です。 透き通る光、照らす道筋 本学の校舎はガラス張りで、透き通って、光が差し込んできます。長い廊下は道筋のようで、それは将来への道筋に繋がっているようでもあります。 創発の気概、漲る学び舎 創発、これも基本理念の三つの言葉の一つです。「創発」とは、個別要素が多数集まることによって、その総和とは質的に異なる、高度で複雑な秩序やシステムが生じる現象のことを言います。 例え話的に説明すると、専門性の違う三人が協力し合うことによって、「三人寄れば文殊の知恵」のことわざのように、一人ひとりの知恵では思いつかないような、質的に異なる素晴らしい知恵が出てくるというようなことです。 気概とは、いかなる困難も乗り越えて達成しようとする強い意志、組み合わせて、創発の気概です。周りの人たちと力を合わせてより良いものを創り出していく、そういう心の姿勢を、皆さんに持っていただきたいと思います。 心ひとつに、切磋琢磨す 本学は保健医療福祉の一学部ではありますが、たくさんの学科・専攻があり、それぞれが目指す専門職は異なります。しかし、温かく豊かな人間性を持つ、そのような人になることを目指して努力する、そういう意味で、心はひとつです。 そして、より良き専門職を目指して切磋琢磨する。切磋琢磨とは、志を同じくする仲間同士が互いに励まし合って、学問や仕事に励むことです。さらには人徳をいっそう磨き上げることです。 さあ埼玉県立大学の友よ 共に歩まん、希望の明日へ 作曲は、先ほどご紹介がありました、ご来賓の高橋浩美先生です。皆さんよくご存知の「旅立ちの日に」を作曲された方です。先生は、大変素晴らしい歌詞だと、大学歌の歌詞を褒めてくださいました。そして、歌詞を見ているうちに、曲が天から降りてきた、先生はそう話されました。素人の私はちょっとびっくりしましたが、専門家の世界ではそういうことがあるのかもしれません。 何日も経ってからですが、私はふっとこういうことを思いました。天から降りてきたということは、天つまり神様が、高橋先生を通して、私たちにこの曲をプレゼントしてくれた、そう受け止めていいのではないか、私はそう思ったのです。皆さん、天からプレゼントされた大学歌です。しっかり覚えて、身につけてください。 私自身、社会人になって何度も、中学や高校の校歌や大学の応援歌に、励まされてきました。皆さんもきっと、社会に出て様々な困難に出会うことがあるでしょう。そんな時、この大学歌を口ずさんで、この大学で学んでいたときのフレッシュな気持ち、あるいは友達や先生を思い出してください。そして自分の心を励まし、未来に向かって自分を奮い立たせてください。この大学歌は、皆さんにとって人生の道筋を照らすものになる、私はそう思っています。 本学の基本理念とそれを織り込んだ大学歌、その説明を、卒業する皆さんへの餞の言葉とし、そして皆さんには、この埼玉県立大学で学んだことを誇りに、これからさらに発展・活躍されることを心から期待して、私のお祝いの言葉といたします。
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