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看護学科の山口乃生子先生が平成27年度日本ハンセン病学会賞を受賞し、記念講演を行いました。

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2016/06/24

看護学科の山口乃生子先生が、平成27年度日本ハンセン病学会賞を受賞しました。
それを受け、平成28年6月7日(火)の第89回日本ハンセン病学会総会・学術大会にて授賞式が開かれ、山口先生が記念講演を行いました。


日本ハンセン病学会賞受賞式の概要
学会名第89回日本ハンセン病学会総会・学術大会
日時平成28年6月7日(火)
会場ホテルヴィレッジ(群馬県吾妻郡草津町)

受賞論文
Health-related quality of life, depression, and self-esteem in adolescents with leprosy-affected parents: results of a cross-sectional study in Nepal. BMC Public Health 2013, 13: 22.
(ネパールにおけるハンセン病患者および回復者を親に持つ思春期青年の抑うつ傾向、自尊感情および健康関連QOLに関する研究)

山口准教授写真


受賞論文要旨
1)研究背景
   世界保健機関の報告によると、2008年初頭の世界のハンセン病登録患者数は約21万人、2007年から1年間に診断された新患者数は約25万人である。ネパールにおいてハンセン病対策は公衆衛生上、重要な課題のひとつであるが、ハンセン病患者や回復者を親に持つ子どもについての研究は少なく、精神健康度やQOLについては明らかでない。

2)研究目的
   本研究の目的はハンセン病患者および回復者を親に持つ思春期青年の抑うつ傾向、自尊感情および健康関連Quality of Life(身体的健康感・情緒的健康感・自尊感情・家族関係・友人関係・学校生活)を測定し、一般青年と比較し、ハンセン病患者および回復者を親に持つ青年のQOLに関連する因子を探索することである。

3)研究方法
   研究参加者は、ハンセン病療養所および寄宿舎に居住している11歳から17歳までの青年102名とした。研究参加者の61名は片親がハンセン病に罹患した経験を持ち、41名は両親がハンセン病に罹患した経験を持っていた。結果を比較する対象として、一般青年115名を2つの公立学校から選択した。全ての研究参加者と保護者に対して文書にて研究の同意を得て調査を行った。調査項目は匿名による自記式質問紙調査を用いた。調査内容は、年齢、性別、学年、QOL、抑うつ尺度および自尊感情尺度とした。

4)結果・結論
   ハンセン病患者や回復者を親に持つ青年は、一般青年と比較すると抑うつ傾向が高く、自尊感情およびQOLは低いことが示された。特に両親が患者・回復者である場合、QOLは低下する傾向にあった。ハンセン病患者・回復者を親に持つ青年QOLに影響を与える因子として、抑うつ症状が高いこと、両親がハンセン病の既往を持つことの2つが関連を示した。これによって、疾患を抱えていない患者・回復者の思春期の子どもに対しても精神的支援をする必要があることが示唆された。これらの結果は、親がハンセン病に罹患した経験を持つ青年の精神健康上の問題、生活領域における安寧や満足感について検討する上での一助になる。


(参考)日本ハンセン病学会とは(学会ホームページからの抜粋)
   日本ハンセン病学会は、ハンセン病に関する研究、会員相互の知識の交換、斯学(しがく)の進歩発達を図る目的で1927年(昭和2年)に「日本癩(らい)学会」として設立されました。その後、「日本らい学会」を経て、現在の「日本ハンセン病学会」の名称になりました。
日本ハンセン病学会は、ハンセン病やその類縁疾患、およびそれらに共通する臨床研究や基礎研究を中心として広く活動を行っている団体です。また、ハンセン病をとりまく社会や療養所が抱える諸問題や国際協力にも貢献します。このような活動によって、基礎、臨床医学全般の発展に寄与し、ハンセン病医療に貢献することを目指しています。さらに学会の活動による成果を積極的に臨床医学の場や社会へ還元し、人権の尊重や、ハンセン病の啓発、偏見・差別の解消にも努めます。

日本ハンセン病学会ホームページはこちら