受賞された皆様おめでとうございます。
大学は、教育・研究・社会貢献という3つの大きな役割を持っています。3年前に博士後期課程の設置が認められ、本学の研究者・教育者を育成する機能が強化され、実質的に教育と研究の両輪がそろうことになりました。その後、研究開発センターを設置し、研究機能を一段と高めるとともに、地域に貢献するような研究に取り組み、本学自身が大きく成長する体制ができたと思います。
私が理事長に就任する以前から準備は進められていましたが、博士後期課程の設置については、文部科学省への申請、多大な指摘事項への対応など、夏休み返上で努力していただきました。その後も紆余曲折ありましたけれども、年末ぎりぎりに何とか大学院博士後期課程の承認に辿り着きました。
そのプロセスにおきまして、当時の三浦学長をはじめ、多くの方々が努力をされ、特に、濱口先生や金村先生に重責を担っていただきました。
この大学院後期課程の設置を契機として、本学の基本理念を定めることとしました。教職員からの提案を募りながら定めたのですが、陶冶・進取・創発というこの基本理念は、筋の通った、より高みを目指す、本学の在り方を示す、素晴らしい基本理念だと思います。
この基本理念を具現化していく、そういう人に対する表彰制度を作りたいと思い、学長や事務局長とも相談しながら基本理念特別表彰の制度を設けました。
先般、この基本理念特別表彰の被表彰者として、功績を付して濱口先生が推薦されました。その功績は先ほど萱場学長が話された受賞理由の通りです。私もこの制度の初めての表彰者にふさわしい人だと思い、本日の表彰に至りました。
濱口先生とは、学内だけでなくバスや電車の中でお会いすることもありますが、いつもパソコンを開いて研究をしています。寸暇を惜しんで努力されている、一歩先に進もうと常に研鑽している、そういう姿勢はたいへん素晴らしいもので、その努力が教育用ロボットアームの特許に結実したのだと思います。本学をより良い大学にしていくため、濱口先生には今後もリーダーシップを発揮して、様々な面でご活躍いただき、埼玉県立大学ここにありを象徴する人になってもらいたいと思います。
道学教師理事長賞についてですが、先生方が携わる教育と研究のうち研究については、研究の成果は学会等で評価され、努力の結果は本人に帰属し社会的にも認められることになります。一方、教育については、教育を受けた学生は毎年卒業していきますので、研究成果のように積み重ねていくことができません。
しかし、大学の機能として一番大事なのは教育であり、その教育に努力している先生方を表彰する、そういう仕組みを作れないかと考え、道学教師理事長賞を設けた次第です。
道学という言葉は、中国の四書五経の一つである「中庸」という本に出てきます。「中庸」の冒頭に朱熹が前文を書いていまして、その中に道学という言葉が出てきます。道、即ち人としての生き方、それを学ぶという意味です。
その「中庸」には、私の好きな言葉の一つですが、「誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり」という言葉があります。まさに、そのような姿勢、そのような生き方が、教育者を通じて学生に伝わり、学生が誠の道を踏みながら成長していく、そういう教育が展開されるようになってほしい、この表彰制度に込められている思いです。
受賞された先生方におかれましては、学生にとって範となる教師として、これからも一層頑張っていただきたいと思います。
お祝いの言葉が期待を込める言葉になってしまいましたが、心からお祝いを申し上げつつ、また、大きな期待を寄せつつ、私のあいさつとさせていただきます。
本日はおめでとうございました。