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第1回基本理念特別表彰を行いました(受賞者:濱口豊太教授)

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2018/03/27

 
   基本理念特別表彰は、埼玉県立大学の基本理念である陶冶・進取・創発を具現化し、教育・研究や社会貢献等の活動において特色ある顕著な業績を収め、本学の名声を高めた者を表彰するため、平成28年度に創設されました。
   創設以来初となる受賞者は、保健医療福祉学部・作業療法学科の濱口豊太教授です。  
   平成30年3月6日(火)に表彰式が執り行われました。式では江利川理事長から祝辞が述べられ、濱口教授には表彰状及び目録が授与されました。(なお、平成29年度道学教師理事長賞表彰式と同時開催されました。)
   詳細は以下のとおりです。

1   受賞者

   濱口豊太   教授(保健医療福祉学部   作業療法学科)

2   受賞理由

(1)  大学院運営に係る特別な功績

・長年に渡って大学院の教務運営に携わり、特に平成25年度以降は、大学院教務委員会の委員長として、博士後期課程の設置や大学院の教育目的、ポリシー、カリキュラムの策定等において、中心的役割を果たしてきた。
・大学院の運営については、平成29年度計画の業務実績中間評価においても、博士後期課程完成年度後のカリキュラム案を検討するだけでなく、学則や大学院履修規程の改正まで前倒しで実施したことにより、S評価とされたところである。
・以上の実績は、学内運営において革新的・先導的な取組を行い、特別な功績があったと認められる。

(2)  研究に係る特別な功績

・研究の面では、ロボットに身体障害者の病的運動を記憶・再現させて用いるシミュレーション医療教育用ロボットアーム(※)の開発に代表者として取り組み、埼玉県産学連携研究開発プロジェクト補助金に採択された(平成27年7月~平成30年3月、補助金額2千万円)。
・また、本研究で得られた成果については、特許出願を行った結果、平成30年3月に特許として認められた。
・以上の実績は、研究が自治体の補助事業に採択されるなど公的に認められ、その成果を対外的に普及することに尽力したと認められる。

※   ロボットアーム

【上肢運動機能評価・練習装置Dicephalusと、運動病態を再現するロボットアームSamothrace】

   Dicephalusは人間の上腕と前腕を支持して運動を介助する機能を有し、運動麻痺のある人に2対のロボットアームを装着して、理学療法士や作業療法士が上肢運動療法を行うと、その動作を学習して再現できる装置です。
   Samothraceは人体を摸した骨格と筋肉を有して上肢運動麻痺を再現するロボットアームであり、これに対して理学療法士や作業療法士が行った運動療法の手技を記録して、熟達者と初学者を判別することができます。
   これらは平成27〜29年度埼玉県産学連携研究開発プロジェクト補助金と平成29年度日本学術振興会研究補助金による支援を受けて開発し、平成30年3月に特許として認められました。

3   理事長祝辞

   受賞された皆様おめでとうございます。
   大学は、教育・研究・社会貢献という3つの大きな役割を持っています。3年前に博士後期課程の設置が認められ、本学の研究者・教育者を育成する機能が強化され、実質的に教育と研究の両輪がそろうことになりました。その後、研究開発センターを設置し、研究機能を一段と高めるとともに、地域に貢献するような研究に取り組み、本学自身が大きく成長する体制ができたと思います。
   私が理事長に就任する以前から準備は進められていましたが、博士後期課程の設置については、文部科学省への申請、多大な指摘事項への対応など、夏休み返上で努力していただきました。その後も紆余曲折ありましたけれども、年末ぎりぎりに何とか大学院博士後期課程の承認に辿り着きました。
   そのプロセスにおきまして、当時の三浦学長をはじめ、多くの方々が努力をされ、特に、濱口先生や金村先生に重責を担っていただきました。
   この大学院後期課程の設置を契機として、本学の基本理念を定めることとしました。教職員からの提案を募りながら定めたのですが、陶冶・進取・創発というこの基本理念は、筋の通った、より高みを目指す、本学の在り方を示す、素晴らしい基本理念だと思います。
   この基本理念を具現化していく、そういう人に対する表彰制度を作りたいと思い、学長や事務局長とも相談しながら基本理念特別表彰の制度を設けました。
   先般、この基本理念特別表彰の被表彰者として、功績を付して濱口先生が推薦されました。その功績は先ほど萱場学長が話された受賞理由の通りです。私もこの制度の初めての表彰者にふさわしい人だと思い、本日の表彰に至りました。
   濱口先生とは、学内だけでなくバスや電車の中でお会いすることもありますが、いつもパソコンを開いて研究をしています。寸暇を惜しんで努力されている、一歩先に進もうと常に研鑽している、そういう姿勢はたいへん素晴らしいもので、その努力が教育用ロボットアームの特許に結実したのだと思います。本学をより良い大学にしていくため、濱口先生には今後もリーダーシップを発揮して、様々な面でご活躍いただき、埼玉県立大学ここにありを象徴する人になってもらいたいと思います。
   道学教師理事長賞についてですが、先生方が携わる教育と研究のうち研究については、研究の成果は学会等で評価され、努力の結果は本人に帰属し社会的にも認められることになります。一方、教育については、教育を受けた学生は毎年卒業していきますので、研究成果のように積み重ねていくことができません。
   しかし、大学の機能として一番大事なのは教育であり、その教育に努力している先生方を表彰する、そういう仕組みを作れないかと考え、道学教師理事長賞を設けた次第です。
   道学という言葉は、中国の四書五経の一つである「中庸」という本に出てきます。「中庸」の冒頭に朱熹が前文を書いていまして、その中に道学という言葉が出てきます。道、即ち人としての生き方、それを学ぶという意味です。
   その「中庸」には、私の好きな言葉の一つですが、「誠は天の道なり。これを誠にするは人の道なり」という言葉があります。まさに、そのような姿勢、そのような生き方が、教育者を通じて学生に伝わり、学生が誠の道を踏みながら成長していく、そういう教育が展開されるようになってほしい、この表彰制度に込められている思いです。
   受賞された先生方におかれましては、学生にとって範となる教師として、これからも一層頑張っていただきたいと思います。
   お祝いの言葉が期待を込める言葉になってしまいましたが、心からお祝いを申し上げつつ、また、大きな期待を寄せつつ、私のあいさつとさせていただきます。
   本日はおめでとうございました。
 

4   濱口教授からのコメント

   この度は栄誉ある表彰とこの機会を与えて頂いた皆様に御礼申し上げます。
   埼玉県立大学の基本理念「陶冶、進取、創発」は、私たちが目標とする遙か限りない到達点であり、これらを実現する方法を探求する知性を教示していただいていると思います。この度の表彰は、これまで私をご指導いただきました皆様のものであり、私は私と共に学んでいる学生と同僚とでこの誉に習い、さらなる励みを誓うものであります。
   私たちの研究はリハビリテーションの技術を必要とする人たちに役立つようにと願いながら地道に積み重ねてられています。当学のリハビリテーション用ロボットの開発は、機械工学と情報科学とリハビリテーション学の専門家が連携して行っています。機械工学が人工体を作り、情報科学が制御機構を作成し、リハビリテーション学は人体の運動を機械と情報から再現する方略を構築します。3者のアイデアが人工体と制御機構に命を吹き込むかのように知恵を振り絞って研究は進んでいます。
   人間が人間の手をとって助けるように、ロボットをはじめとする知的人工物が私たちの生活を支援する未来は、この世界ではすでに数多く実現されています。私たちが想像するよりも速く、高い技術でロボティクス・リハビリテーションの世界は展開しています。私は埼玉県立大学において、人間とその社会を助ける学術の一端に触れていることに幸せを感じます。
   私たちの教育と研究の成果は知の探求においてわずかなものですが、その小さな歩みをこれからも基本理念を胸に続けて参りたいと存じます。埼玉県立大学に集う人たちが紡ぎ上げていく学術の一つ一つが真理の探究です。私もその営みに寄与したいと思います。