式辞
新入生の皆さん、
ご入学おめでとうございます。
そして、ご家族の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
また、ご多用にもかかわらず、ご列席を賜りました埼玉県知事 大野元裕様、埼玉県議会議長 荒木裕介様をはじめ、
ご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。
皆さんは今、新しい生活への希望と期待に
胸を膨らませていることでしょう。
同時に、未知の世界への小さな不安も
抱いているかもしれません。しかし、安心してください。本学には皆さんの学びを全力で支え、
共に歩んでいく教職員、そして切磋琢磨し合える仲間がいます。
本学は開学から四半世紀を超え、前身である埼玉県立衛生短期大学から数えれば50年以上の歴史を刻んできました。
この長い伝統の中で育った多くの先輩方が、現在、保健・医療・福祉の最前線で活躍しています。その確かな実績とネットワークは、 皆さんのこれからの学びを力強く支える土台となるはずです。
皆さんが志す保健・医療・福祉の道は、人々の命と暮らしを支える、かけがえのない
尊い仕事です。
現代社会において、疾病構造の変化や
生活支援のニーズはますます複雑化しており、もはや一人の専門職の力だけで全ての課題に応えることはできません。だからこそ本学は、開学以来「連携と統合」を教育の柱に据えてきました。
それぞれの学科での学びが独自の専門性を
深める一方で、あらゆる分野の人々と手を取り合い、実践活動ができる人材を育てる。この「専門職連携教育(IPE)」に、全学を挙げて取り組んでいます。
また、本学には「陶冶・進取・創発」という
基本理念があります。己を磨き、豊かな人間性を養う「陶冶」。
自ら進んで新しい物事に取り組む「進取」。そして、多様な個性が響き合い、新たな価値を生み出す「創発」。 先ほど皆さんと共に歌った大学歌には、この精神が息づいています。この理念と「連携と統合」の精神を胸に刻み、人の思いに寄り添い、その人らしい生き方を支える「ヒューマンケア」の本質を追求していってください。
学部に入学された皆さんは、まず「人間とは何か」という深い理解から学びが始まります。人との関わり、そして助けを必要としている方々との対話を通して、ヒューマンケアの真髄を学んでいきましょう。また、大学院へ入学された皆さんは、その理解をさらに深化させ、それぞれの専門領域において、次世代のヒューマンケアに寄与する創造的な研究へと歩みを進めていただくことを期待しています。
大学は、単に講義室で知識を得るだけの場所ではありません。サークル活動、ボランティア、あるいは
日々の生活体験を通して、一人の自律した
社会人としての振る舞いを学び、経験する場でもあります。
AI、すなわち人工知能が定型的な判断を代替する時代だからこそ、私たちには、人間にしかできない「創造力」や「共感力」が求められています。
大学という多様な背景を持つ人々が集う場所で、本学が得意とする実践的・対話的な学びを重ね、答えのない不確実な世の中においても
「物事の本質」を見抜く力を養ってください。これからの生活の中で、時には思い通りにいかないことや、高い壁にぶつかることもあるかもしれません。
しかし、それもまた、皆さんを形作る大切な経験です。
困難に直面したときこそ、それをしなやかに受け止め、柔軟に乗り越えていく
「レジリエンス」を育んでほしいと
願っています。
人とのつながりを何よりも大切にしながら、
失敗を恐れず、さまざまなことに挑戦してください。皆さんのこれからの歩みが、光り輝く豊かなものとなることを心から祈念し、私の式辞といたします。
改めて、ご入学おめでとうございます。
2026年4月2日
公立大学法人埼玉県立大学
学長 林 裕栄