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2025年度大学卒業式・大学院修了式 学長式辞

2022年度 卒業式 学長式辞


式辞

本日、学士の学位を取得された保健医療福祉学部の皆さん、および、修士あるいは博士の学位を受けられた大学院研究科の皆さん、本学の教職員と在学生を代表して、心からお祝いを申し上げます。
この日を迎えるまで、皆さんの歩みを支え、励ましてこられたご家族やご関係者の皆様も、さぞやお慶びのことと拝察いたします。これまでの多大なるご支援に対し、深く感謝と祝意を申し上げます。また、ご多忙の中、ご列席を賜りました埼玉県知事大野元裕様をはじめ、ご来賓の皆様に厚く御礼申し上げます。

1999年に開学した本学は、四半世紀を経て、今や1万名を超える卒業生が社会の第一線で活躍する学び舎となりました。本日、皆さんもその誇り高き同窓生の一員となります。
皆さんの学生生活は、高校時代から新型コロナウイルスの影響を受け、大学入学後も制約の中でのスタートとなりました。しかし、その不自由な時間を乗り越え、通常の色鮮やかな生活を取り戻した今、皆さんは学位取得という「有終の美」を飾られました。皆さんの努力に、心からの敬意を表します。

この数年間、社会は激しく変化しました。デジタル化が加速する一方で、価値観の分断や経済格差など、私たちは予測困難な時代を生きています。しかし、皆さんはこの逆境から、最も大切なことを学んだはずです。それは、「自分らしさを表現することの尊さ」、「相手を尊重する多様性と寛容さ」、そして何より、「人と人が支え合うことの圧倒的な心強さ」です。

本学の教育の柱である「専門職連携教育(IPE)」は、単なる仕事の手法を指すものではありません。それは、異なる専門性や背景を持つ者同士が、いかにして手を取り合い、より良い未来を築くかという「生き方」そのものを問うています。 さて、現代日本を代表する法哲学者、井上達夫氏はその著書『共生の作法』の中で、会話を「営為」と捉えています。本当の共生とは単に仲良くすることではなく、価値観の相容れない他者と、公正なルールに基づいて誠実に向き合い続けるプロセスそのものなのです。

これから皆さんは、それぞれの道へ進みます。国家資格を手に医療・福祉の現場に立つ人もいれば、一般企業や行政の場で社会を支える人、あるいは研究の道を志す人もいるでしょう。 どのような道に進んでも、皆さんは必ず「自分とは正反対の考えを持つ人」や「理解しがたい困難な課題」に直面します。そのとき、安易に同調して自分を見失ったり、逆に相手を否定して心を閉ざしたりしないでください。 相手の立場に想像力を働かせ、粘り強く対話を試み、誰もが納得できる「第三の道」を共に探り続けること。この「向き合い続ける作法」こそ、多様な人々が共に生きる社会を支える土台となります。

専門職として患者さんの尊厳を守る現場でも、組織の一員として新たな価値を創造する場でも、この「作法」の重要性は変わりません。相手を誠実に受け止め、自分にできることで応えていく。その積み重ねが信頼という絆を生み、結果として皆さん自身の人生をも豊かにしていきます。
「共生」は心地よい状態を待つことではなく、自ら問い続け、働きかけ続ける終わりのない「作法」です。現場の空気や目先の効率に流されず、常に自立した一人の人間として、他者と向き合う「作法の担い手」であってください。

皆さんが本学で育んだこの価値観は、これからの社会を照らす宝物です。皆さんの活躍は、埼玉県立大学の誇りであり、希望です。卒業後も本学との絆を大切に、これからの新しい時代、そして未来の埼玉県立大学を、私たちと共に創り上げていきましょう。

皆さんの新しい門出を祝し、社会の様々な分野で、皆さんが自分らしく、力強く歩んでいくことを心より祈念して、私の式辞といたします。


2026年3月13日



 

公立大学法人埼玉県立大学
学長 林 裕栄