道学教師理事長賞は、本学において高い教養や専門的な知識や技術の教授と併せて、学生の優れた人格形成に資するよう工夫した取組を行い、高い能力、豊かな人間性、確かな倫理観を併せ持つ保健医療福祉に携わる人材の育成に顕著な成果を挙げた教師を表彰することにより、教員の意欲及び教育の質の向上を図るために、2014年度に創設されました。
2025年度道学教師理事長賞受賞者は、学生投票の結果から以下の3名に決定し、2026年3月10日(火)に、道学教師理事長賞表彰式が行われました。表彰式では、理事長から表彰状及び目録が授与されました。
1 受賞者 役職は表彰式時点のものです。
滑川 道人 教授(共通教育科)
波多野 真弓 助教(看護学科)
相良 翔 准教授(社会福祉子ども学科)
2 理事長祝辞
受賞おめでとうございます。皆さんから誠に心温まる見事なスピーチを伺いました。
ところで、教育とは、学生に対し何かを伝えた結果、彼らが伸びていくことだけではなく、滑川先生が仰っていたように、学生が卒業してから何年経っても、「この大学で学んで良かった」、「あの先生に会って良かった」、と思い起こさせるのも教育の成果です。勿論、卒業生がプロとしての仕事ができるようになる姿が、第一次的な成果ですが、それだけでなく、愛校心を持ち、先生にまた会いたい、仲間とずっと一緒に勉強したいと思わせるのも、教師の力です。
私が、この道学理事長賞を前理事長から受け継いだ際、教育をきちんと行っている先生たちを客観的に評価する仕組も大切との趣旨を教わりました。研究については、学会賞の受賞や、学術論文の掲載等、客観的評価があります。それに対して、教育は、教師としての心の喜びは得られるかもしれないし、卒業生から感謝の言葉を受けるかもしれませんが、フォーマルな賞がなかったので、この道学教師理事長賞は作られたと伝えられました。これは大変意味のある賞です。
今回はたまたまお三方が選ばれました。本当は10人、20人と多くの先生を表彰したいところですが、まずは、毎回、投票結果から、特に学生からの支持があったお三方を選ぶようにしています。
教育の背景には、先生方の研究もあるでしょう。また、陰ながらの授業準備等、地道な努力が「教育」の成果となって、やがて、県立大学の将来、社会からの評価に繋がっていきます。
今日だけではなく、これを契機にさらに研鑽を重ね、そして、学長を始め、皆さんの支援を得ながら、良い教師として、さらに良い研究者として進化される将来を期待して挨拶といたします。誠におめでとうございました。
3 受賞者からのコメント
滑川 道人 教授(共通教育科)

この度は栄誉ある道学教師理事長賞を頂戴し、誠にありがとうございます。推薦してくださった学生さんたち、選考委員の先生方、そして理事長をはじめとした関係者の皆さまに深くお礼申し上げます。
私の授業は、「内科学」「脳神経内科学」「老年医学」といった臨床医学であり、大講義室での座学、いわゆる一方向性の授業が中心です。ゼミのような学生と濃密に関わるような授業ではありません。さらに専門職国家試験の出題基準に照らし、非常に情報量が多い授業ばかりですので、このような賞は私には縁遠いものだと思っていました。
それでも今回、学生投票で選ばれたというのは、驚くとともに非常に嬉しいことです。本学に着任して9年が経ちますが、ようやく学生に認められる授業が出来るようになってきたということかもしれません。本当にありがとうございました。
私の授業の取り組みについては、後ほど「取組概要」をお読みいただくこととして、最近、少し嬉しいことがありましたので、ここで披露したいと思います。
本学の地域貢献事業の一環として、私も様々なところに講演や診療応援に参りますが、その先で本学の卒業生が声をかけてくれることが増えてきました。
特に講演会や有識者会議では、事務担当者が「私、県立大の出身なんですよ。滑川先生の「内科学」の授業を受けていました」等と明るく声をかけてくださることがあります。
また、診療応援先の病院で、わざわざ私に会いに検査室から外来診察室にいらっしゃった卒業生もいました。卒業生の活躍ぶりを目の当たりにすることは、教師として大変嬉しいことです。
9年前、ちょうど50歳の時に「医療から教育へ」と大きく人生の舵を切った、その決断が、ようやく少しずつ実を結んできたことを実感し、感慨もひとしおです。これからも埼玉県立大学の保健医療福祉関係の人材育成に努めてまいります。
以上をもって私の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
取組概要(pdf 228KB)
波多野 真弓 助教(看護学科)

この度は、身に余る光栄な道学教師理事長賞を賜り心より感謝申し上げます。
教職員の皆さまのご支援のおかげでこのような機会をいただくことができました。また、学生の皆さんの投票によって選んでいただいたとのこと、大変嬉しく励みになる思いです。
授業や演習、実習では、私が一方的に教えるというよりも、学生の皆さんと一緒に「看護って何だろう」と考える時間を大切にしてきました。今回いただいたコメントの中に「考える力を奪わない程度にアドバイスをくれる」という言葉がありました。この言葉は私が大切にしてきた教育の姿勢を言い表しているようで、とても嬉しく感じました。
臨床で働いていた頃に、新人看護師へ指導している場面で、ある医師から「あなたのように看護を大切に考える看護師が増えたら、もっと多くの人に看護が届けられるのではないか」と、教員になることを薦められたことを思い出しました。その言葉の意味を、いま改めて噛みしめています。
今回の受賞は、学びを求める真剣な学生の皆さんは勿論、日々、看護教育に携わり支えてくださっている先生方のお力添えあってのことと、心より感謝申し上げます。
これからも学生の皆さんと一緒に悩み、考えながら、その人にとって今、大切な看護というものを考え続けていきたいと思います。
改めまして、この度は誠にありがとうございました。
取組概要(pdf 115KB)
相良 翔 准教授(社会福祉子ども学科)
このたびは、誠にありがとうございました。このような賞の対象となるとは、夢にも思っておりませんでした。
私の教育姿勢は、自分では「地味なものだ」と感じておりました。学生との関わりを大切にしてきましたが、自分のやっていることには特別な特徴がないのではないかと思いながら、それでも授業準備だけは丁寧に行ってきました。
また、本学に勤めて12年目になりますが、それまで教育経験は一切ありませんでした。着任1年目は授業準備に多くの時間がかかり、徹夜することもしばしばありました。泣きながら準備していたことを思い出します。そうした経験を踏まえると、今回の受賞によって教育面で一定の達成感を得られたことを感じています。
ただ、今後も教育については「自信を持ちすぎない」ようにしたいと考えています。教育は相互行為の中で成り立つものだと思っているからです。つまり、私が伝えたことを学生が受け取ってくれて初めて、教育として成立するものだと考えています。
今回寄せられたコメントを拝見すると、私が話したことや示したことを学生の皆さんなりに受け取り、考えてくださっていることが伝わってきました。本当にありがたいことだと思っております。その意味でも、この賞は学生のおかげだと感じています。
また、このような機会を設けてくださり、賞の運営に携わってくださった皆さまにも感謝を申し上げます。
これまで多くの方々と出会い、その中で「人にどのように伝えるか」ということについて、さまざまな形で学ばせていただきました。埼玉県立大学の皆さま、恩師の方々、研究者の先輩方や仲間、友人、両親など、多くの方々から折に触れて教え方について多くのことを学ばせていただいてきたのだと感じています。それらの積み重ねが、今回の受賞につながったのだと思っております。
また、教育について考え続けていくうえで、生活の安定も大切な基盤だと思っています。その意味で、家族、とりわけ妻には感謝を伝えたいと思います。
改めまして、このたびは誠にありがとうございました。これからも自分なりに教育について考え続け、自信を持ちすぎることなく、より良い形になるよう努力していきたいと思います。
取組概要(pdf 187KB)
2025年度も投票、運営にご協力いただき誠にありがとうございました。